舌癖を矯正する方法〜自宅でできるトレーニングと専門治療

舌癖とは?歯並びに影響を与える無意識の習慣
日常生活の中で、テレビを見ているときやゲームに夢中になっているとき、無意識に口が開いて舌が歯の間から出ていることはありませんか?
これを「舌癖(ぜつへき)」と呼びます。
舌癖とは、飲み込む動作や安静時に舌が歯を押したり、歯の間に舌を突出させたりする習慣のことです。一日に数千回も行われる飲み込み動作のたびに、舌が歯を押す力は矯正装置で歯を動かす力よりも強いため、歯並びや噛み合わせに大きな影響を及ぼします。

舌癖があると、出っ歯や受け口、開咬(前歯が噛み合わない状態)などの不正咬合を引き起こします。
また、サ行やタ行の発音がしにくくなったり、食べ物を飲み込むのに時間がかかったりすることもあります。
当院では、矯正治療を進める上で舌癖の改善を重視しています。なぜなら、舌癖を放置したまま矯正治療を行うと、治療期間が延びたり、治療後に後戻りしたりするリスクが高まるためです。
舌癖の原因〜なぜ舌の位置が悪くなるのか
舌癖が生じる原因はいくつかあります。
指しゃぶりの習慣
乳児期の指しゃぶりは問題ありませんが、4〜5歳を過ぎても続いている場合は注意が必要です。
幼少期は骨が成長段階で柔らかく不安定なため、指を吸うことで上下の歯の間にスペースができ、開咬になったり、指に沿って上顎の前歯が傾いて出っ歯になったりします。
口呼吸の習慣
アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻詰まりがあると、口呼吸になりやすくなります。
口呼吸では舌が正しい位置に置けず、舌が下がってしまいます。下がったまま生活していると、飲み込むときに舌を前に押し出す癖がついてしまうのです。
また、口呼吸になると口輪筋が弱くなり、自然と口が開いてしまいます。そうなると口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の量が減るため、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
舌小帯短縮症
舌の裏にある糸のような部分を「舌小帯」と呼びます。
この舌小帯が短い症状を「舌小帯短縮症」といい、舌の動く範囲が制限され、舌を挙上することができずに舌癖となってしまうケースがあります。舌を出したときに舌先がハート型に割れるのが特徴です。
この場合、幼少期から機能訓練を行うか、舌小帯の切除といった対処法があります。
正しい舌の位置「スポット」を知る
普段、テレビを見たり本を読んだりしているとき、あなたの舌はどこにありますか?
実は、舌を置く正しい位置があります。
それが「スポット」と呼ばれる位置です。スポットとは、上顎の前歯の付け根あたり、口蓋ひだの後方部分を指します。舌の先がこのスポットに軽く触れ、舌全体が上顎の裏に軽く吸いついている状態が正しい舌の位置です。
舌は筋肉の塊であり、力が強いため、普段から舌の位置が前歯に触れていたりすると、出っ歯や開咬になってしまうことがあります。
このスポットという位置に舌尖を置き、その状態をキープしたまま奥歯を軽く噛み、唇を閉じるように意識してみてください。
自宅でできる舌癖改善トレーニング(MFT)
舌癖を治すには、口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)という口周りの筋肉をバランスよく整えるトレーニングが効果的です。
当院では、患者様の筋力の弱さに応じて「お口ヨガ」のようなトレーニングを指導し、毎日ご自宅で実践していただいています。
スポットポジション
目的は、安静時や嚥下時に舌尖が触れるスポットの位置を正確に覚えることです。
鏡でスポットを目視し、確認したあと舌の先をスポットにつけます。舌先は上下の前歯に触れないことが重要です。舌が前に出過ぎたり、舌先が丸まらないよう注意してスポットに舌をつけましょう。
舌の先が丸まってしまいがちな方は、できるだけ口を大きく開けて練習するようにしてください。鏡で確認しながら正確な位置を覚えて練習しましょう。1日10回を目安に行います。

ポッピング
目的は、舌を挙上する筋肉の強化です。
舌全体を上顎に吸いつけ、ゆっくり口を開けて舌小帯を伸ばし、「ポン」と舌打ちをします。完全に吸い上がってから舌を上顎から外しましょう。
舌の先はスポットの位置にあり、舌全体がぴったりと上顎に吸いつけられていることが望まれます。
この練習は音を立てることが目的ではありません。1秒間程度舌小帯を十分に伸ばしてから舌をパタンと落とす要領で練習します。単に音を立てるだけの練習としっかり小帯を伸ばしながら行う練習では効果がまったく異なります。1日10回を目安に行います。
オープンアンドクローズ
目的は、舌を挙上する筋肉の強化です。
舌全体を上顎に吸いつけ、口を大きく開け、舌小帯を十分に伸ばしてから、そのままゆっくり軽く歯を合わせます。これを繰り返します。
ポッピングと同様に舌全体が上顎に吸いついていることが必要です。また歯を合わせたときにも、舌が挙上されたままであることが重要です。1日10回を目安に行います。
普段の生活の中で、トレーニングで覚えた正しい舌の位置を保ち、また正しい発音・咀嚼が行えるよう習慣化を目指して頑張りましょう。
専門治療〜矯正治療とMFTの併用
当院では、舌癖が原因で歯並びが悪くなっている場合、矯正治療とMFTを併用して治療を進めています。
矯正装置をつけなくてもある程度歯並びが改善することもありますし、矯正治療とMFTの併用によって治療後の後戻りがしにくくなります。
マイオブレース矯正との組み合わせ
マイオブレース矯正は、歯並びが悪くなる原因に介入する矯正治療として扱われています。
口呼吸、舌癖、飲み込み時の舌の位置異常、唇や頬の筋肉バランスの乱れ、顎の成長不足・偏りに対応できます。取り外し式の装置を使用し、日中と就寝時に装着し、トレーニング(筋機能訓練)を併用し、成長期の顎発育を活かします。
マイオブレース単独で完結しない場合もあり、成長を見ながら段階的に治療を進め、必要に応じて次の矯正へ移行します。「万能な治療」としてではなく、成長期の重要な選択肢のひとつとして説明しています。

治療期間と通院頻度
MFTの治療期間の目安は1〜2年で、治療回数は10〜25回程度です。
小児矯正では完全無料、本格矯正では20回まで無料で対応しています。矯正治療の診察中、矯正器具の調整の後など、時間の取れる時に行い、レッスン最後に宿題を出します。
患者様には毎日ご自宅で宿題をしていただきます(ご自宅での所要時間15分程度/回)。毎日行うことによって、次第に舌の筋力が上がり、ある程度までは自然と歯に寄りかからなくなります。
しかしレッスン後半は「習慣化」と言って、ついた筋力を生活習慣の中で生かせるようにしていく努力が必要となります。治療終了までお口ヨガをひたすら続けていれば自然に舌癖が治っていく、のではなく生活の中で意識する努力が最終的には必要となります。
舌癖を放置するリスク〜矯正治療への影響
舌癖を改善しないまま矯正治療だけを受けるとどうなるのでしょうか?
治療期間が延びる
矯正治療中は、歯とその周りの組織が分離した状態で、歯がとても動きやすい状態になっています。
そこに矯正の力をかけて動かしていくわけですが、舌は筋肉の塊です。舌を歯に押し当てる癖を改善しない場合、どれだけ矯正の力で動かしても舌の圧で抑制・後戻りを起こしてしまい、なかなか矯正治療が終われないというケースがあります。
歯が弱くなる
歯は矯正器具と舌との両方からの力を受けることになり、弱ってしまいます。
舌が歯を押す方向と矯正器具が歯を押す方向は逆であることがほとんどです。そのため、歯の動くスピードは遅くなり、結果的に治療期間が延びてしまいます。
治療後の後戻り
治療終了後のきれいな歯並びが崩れやすいです。
口の中で舌と矯正器具とがぶつかるため、器具を壊しやすいです(破損の頻度が高いと治療期間が延びてしまいます)。
当院での舌癖治療の流れ
当院では、舌癖の改善を矯正治療の一部として組み込んでいます。
診査
各患者様の固有の飲む、食べる、話す動作を動画に撮ります。所要時間は1時間程度です。
診査結果の報告と治療計画のご提案
矯正治療とは別に筋機能療法の治療計画を立て、患者様にお伝えします。所要時間は1時間程度です。
筋機能療法の実施
矯正治療と並行してお口周りのヨガのようなことをしていきます(都度のレッスン10〜30分/回)。
レッスンの終わりに宿題を出しますのでご自宅で毎日再現していただきます。毎日、というのがとても大切です。
診査代は27,500円、都度のレッスン料は小児矯正では完全無料、本格矯正では20回まで無料です(21回目以降は2,200円/回)。
まとめ〜舌癖の改善が将来の口腔環境を守る
舌癖は、歯並びや噛み合わせに大きな影響を及ぼす無意識の習慣です。
当院では、矯正治療を進める上で舌癖の改善を重視し、筋機能訓練(MFT)を通じて正しい舌の位置と使い方を習得していただいています。
自宅でできるトレーニングを毎日続けることで、舌の筋力が上がり、歯並びや噛み合わせの改善につながります。
矯正治療とMFTを併用することで、治療後の後戻りを防ぎ、将来まで安定する口腔環境を作ることができます。
舌癖が気になる方、お子様の歯並びが心配な方は、ぜひ一度当院にご相談ください。初診での相談は無料です。
汐入駅前歯科 矯正歯科・小児歯科では、将来まで安定する口腔環境を作ることを目的とし、歯並びを整えるだけでなく噛み合わせ、顎の成長、筋機能、清掃性、後戻り防止を総合的に考えた治療を行っています。矯正からメンテナンス、必要に応じた補綴・インプラントまで一貫して対応できる点が特徴です。
お気軽にお問い合わせください。
【監修者紹介】
山口 和巳(やまぐち かずみ)

はじめまして。汐入駅前歯科 総院長の山口和巳です。
私が歯科医師を志したのは、中学3年生のときに父を病気で亡くしたことが大きなきっかけでした。母が一人で私を懸命に育ててくれたことへの感謝とともに、家族を失う悲しみや医療の大切さを強く感じ、この道を目指しました。母の負担を少しでも軽くしたいという思いから、国立の新潟大学歯学部へ進学し、国民の皆様の税金に支えられながら学ばせていただきました。
今こうして歯科医師として働けているのは、学生時代から多くの方々に支えていただいたおかげです。だからこそ、その恩を地域の皆様に少しでもお返ししたいという思いを胸に、日々診療に取り組んでいます。
私のポリシーは「できる限り多くの方に質の高い歯科医療を提供すること」。経営面では決して器用ではありませんが、目の前の患者様に対して損得を一切考えず、「ここに来てよかった」と思っていただける治療を常に心がけています。
私が理想とする医師像は、映画『パッチ・アダムス』に登場する医師のように、人として温かく、誠実に寄り添える存在です。その姿に少しでも近づけるよう、今もさまざまな勉強会やセミナーに参加し、最新の技術を学び続けています。
これからも一人でも多くの方の健康を支えられるよう、技術を磨き、人間としても成長を重ねてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
略歴:
- 1991年 新潟大学歯学部卒業
- 1998年 ストローマンインプラント認定医
- 1999年 汐入駅前歯科 開院
- 2000年 ブローネンマルクインプラント認定医
- 2004年 ハーバード大学インプラント科研修
- 2006年 パナソニックデンタルレーザーインストラクター
- 2007年 ITIメンバー認定(インプラント学術団体)
- 2007年 マロクリニック(ポルトガル、リスボン)All-on-4研修
- 2010年 アンキロスインプラント認定医
- 2010年 厚生労働省認定指導医
- 2014年 Smile10デンタルクリニック 開院
【姉妹院のご案内】
Smile10デンタルクリニック
センター北駅徒歩1分、Smile10デンタルクリニック。
駐車場無料チケットありで車でも安心。
ホワイトニング・小児矯正・インプラントもお気軽にご相談ください。
📍住所:〒224-0003 横浜市都筑区中川中央1-1-5 YOTSUBAKO 6階
📞TEL:045-530-0824
まとめ
小児矯正の本質は、単に歯を並べることではなく、顎や脳が活発に成長する「ゴールデンタイム」に呼吸や舌、嚥下など口腔機能の問題を改善し、お子様本来の健やかな成長を守ることです。
マイオブレイス小児矯正はその根本から改善を図る治療。親御様のご協力は不可欠ですが、その分、お子様が将来健康で豊かな生活を送るための大切な基盤となります。
少しでも口呼吸や歯並び、顎の発育が気になったら「まだ早い」と思わず、ぜひ一度汐入駅前歯科にご相談ください。丁寧なカウンセリングで最適なプランをご提案いたします。
汐入駅前歯科
住所: 〒238-0041 神奈川県横須賀市本町3丁目27 ベイスクエアよこすか一番館2F
診療時間: 月〜金 9:00〜12:00 / 13:30〜18:00
土日 9:00〜12:00 / 13:30〜17:00
休診日: 祝日、その他特定日(全社研修日、ゴールデンウイーク、夏季休暇、年末年始休暇)
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📍京急「汐入駅」から徒歩1分
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